「移民と美術」について
和歌山県は、海外への移民が全国第6位に上る「移民県」として知られています。
アメリカ、カナダ、オーストラリア、ブラジルなど
世界各地に和歌山をルーツとする人々が現在も暮らしています。
彼らの祖先の多くは、新天地での仕事を求めて海を渡りました。
しかしそのなかには美術を志した者たちもおり
特にアメリカで活動した作家たちは、アメリカ美術の歴史と関わりながら活動し
数多くの足跡を残しました。
こうした和歌山県の歴史に関連して、和歌山県立近代美術館では
戦前の渡米画家たちの仕事を調査研究・作品収集の対象としています。
また和歌山県内には当館以外にも関連する研究機関があり
さまざまな立場から移民の歴史についての研究を行っています。
この歴史と蓄積を引き継いだ私たちは
これからの研究に向けた一歩として、ふたつの課題を見出しました。
ひとつは、和歌山県における研究の蓄積を集約し、国内外に向けて発信すること。
このためには和歌山県内の研究機関の連携が必要です。
もうひとつは日系移民の研究を、送り出した側/迎え入れた側
つまり「Emigration」と「Immigration」の観点から
双方向的に考えることです。
よって海外側、まずはアメリカ側として
全米日系人博物館との共同研究を開始しました。
このウェブサイトは
そうした活動を継続的に発信するための拠点を目指して制作したものです。
まずはこれまでの移民研究の蓄積を広く共有し
またこれからの活動につなげていくために
歴史・美術・研究・教育・連携という5つの視点を定めました。
少しずつではありますが
「移民」という歴史的事象を多面的に振り返りつつ
さまざまな人たちに関わる視点を共有するための
プラットフォームとして育てていくことを目指しています。
なお本サイトは、文化庁「令和4年度博物館等の国際交流の促進事業」の成果の一部であり
引き続き和歌山県立近代美術館が管理運営を行っていきます。
2023年2月開設
和歌山移民研究を軸とした国際交流事業実行委員会
[事務局:和歌山県立近代美術館内]
文化庁「令和4年度博物館等の国際交流の促進事業」
ロゴマークについて
「移民と美術」の英語サイトは「Art and Migration」と名付けました。その頭文字「A」と「M」のかたちを、日本から移民として新しい世界へ旅立った人たちが渡った海と、彼らが体験したさまざまな波になぞらえ、そこに歴史を振り返り書き記していく私たちの仕事を重ね合わせて表現しました。
Designer:鈴木大義